1.出会い

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1.出会い

 一風変わったクラスメイト。  それはお互い様。きっと相手の方も『自分』を見て、そう思っていることだろう。何となくそんなことを考えた。  ペアを組んだ相手のこと。机を合わせて至近距離に座っている女の子。何を考えているのか、どういう性格なのか、現時点ではまだ何も掴めていない。  ──今から数分前のこと。『自分』がゆーらりが丘中学の新一生になってから初めての登校日。教室に集まって最初に皆で自己紹介をした。ごく普通のことだ。  ここで言うところの『自分』は小柄だけど、とても目を引く容姿だった。日本という国では特に目立つ事だろう。  皆の前に立って、口を開く。 「皆岸栄里奈(みなきしえりな)です。こう見えて日本人です。英語はまあ、それなりには話せますが。普段使っているのはこの通り、日本語です」  こう見えてとは、容姿のこと。  白い肌。輝くような金髪に加えてエメラルドグリーンの瞳。父と母共にアメリカ人。わけあって夫婦ともども来日して就労し、日本国籍を取得したから、こうなっているのだそうな。 「ないすとぅーみーちゅ。というわけで、よろしくお願いします」  自己紹介は気軽なノリだった。  対して、もう一人の方……。 「秋山栗乃(あきやまくりの)、です」  栄里奈より背の高い女の子。どこか眠たそうな変化に乏しい表情で、物静かな性格が窺える。栗色の長い髪を一つのお団子状にまとめている子。 「趣味は、パズルをすることです」  特に印象に残ったわけではないけれど、ほう、そうなのですかと栄里奈は思った。確かに、黙々と何かに没頭してるのが似合いそうな人だ。  この二人。接点がまるでなさそうだったけれど、どういうわけか自己紹介の後でペアを組むことになった。  親睦を深めるために、クジで無作為に二人一組のペアを組んで、これからオリエンテーションを行うらしいのだ。 「皆岸っす」 「……秋山っす」  うん? あれ? この子、存外結構ノりがいいぞ? 栄里奈はそう思った。 「よろしく」  右手を差し出したら、ちゃんと握手してくれた。フレンドリーだ。 「……こちらこそ」  栄里奈と栗乃。  この二人はすぐに打ち解けて、親友になるのだった。
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