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「……どうですか、兄貴?」
ビルの窓を睨みつける、二つの影があった。もう一度声をかけられ、兄貴、と呼ばれた男は首を横に振る。
「ダメだな、電話に出た奴、何の問題もなさそうにしてやがった。しばらくしたら、本当に担当者ってやつが来る可能性が高い。あの会社はダメだ、他を当たるぞ」
「へぇ、そうですか……。正月深夜なら、オフィスビルは空き巣の狙い目だと思ったんですけどねぇ」
「あぁ、全くだ……ちらっと明かりが見えたんで、念のために電話をしてみてよかったよ……しかし、こんな正月にせっせと働くなんて、社会人ってのは大変だねぇ」
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