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 俺がハニプリのマネージャーになって、もうすぐ1年がたつ。時には彼らを厳しく叱りつけることもあったが、それはグループの為を思ってのことだ。ライブ後にご飯に連れて行ったり、サプライズで誕生日を祝ったり、少しずつ距離を縮めながらお互いにとっての良い関係を築いてきたつもりだ。しかし、悩みごとを相談できるほど、唯斗にとって俺はまだ信用できる存在ではないのだろうか。それとも、よほど言いだしづらい内容なのだろうか。例えば……。 「…………女か?」  恐る恐る尋ねると、彼はビクリと肩を震わせた。図星のようだ。  勘弁してくれ、というのが真っ先に浮かんだ感情だった。彼らは今まさに絶賛売り出し中のグループで、ラジオ番組やローカルテレビ局での地道な活動を経てようやく全国ホールツアーを実現できるレベルの人気が出てきたところなのだ。お世辞にも大手とは言えないうちの芸能事務所の、一番の稼ぎ頭なのだ。このタイミングで熱愛スキャンダルが出るのは非常に困る。  しかし、頭ごなしに否定するのも違うだろう。ここが、マネージャーとしての腕の見せ所だ。唯斗の気持ちに理解を示しつつ、彼をアイドルとして正しい道に導かねば……! 「……唯斗、気持ちはわかるぞ。まだハタチだもんな。俺がお前ぐらいの歳の頃は、マジで朝から晩まで女子のことしか頭になかったよ。でもさ、今そういう話が表に出ちゃうとせっかくここまで頑張ってきた努力がだなぁ……」 「へっ!?」と素っ頓狂な声をあげて唯斗は目を丸くした。 「いや、違います違います、色恋沙汰とか全然そういう話じゃなくて……!」  焦ったように顔の前でブンブンと手を振る彼の姿を見て、安堵のため息が漏れた。そうだ、他のメンバーならまだしも、人一倍スキャンダルに気をつけていた真面目な唯斗に限って、恋愛トラブルなんてありえない。  では一体、何が彼をそこまで悩ませているのだろうか。 「あの、こんなこと人に話しても信じてもらえるか分からなくて……。もしかしたら俺の考えすぎかもしれないし、笑わずに聞いてほしいんですけど……」  ようやく決心がついたらしい彼が、そんな前置きをして、ゆっくりと語りだした。
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