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これを書いた子供には申し訳ないな、とか思いつつ、文字を追う。
『ふーたへ
げんきしてますか
なぉくんはげんき
このまえはおこってごめんなさい
だいきらいっていってごめんなさい
ほんとはすきだよ
ろぼっとがばらってなって、おこっただけ
でももうなおったからだいじょぶ
だから、はやくただいまして
なぉくんより』
ミミズが紙の上でタップダンスを踊ったようなその文字列の下には,絵が添えられていた。
クレヨンで書かれた拙い茶色い犬と、子供の絵。
犬の方はくるくると毛が巻いてあり、おそらくプードルだろう。
その下に、文字。
ふーた。
子供の足の下には、
なぉくん。
「ふーた」は、人間ではなく、「なぉくん」の飼い犬だったのか。
「なぉくん」と「ふーた」はある日ロボットのおもちゃを壊したとかで喧嘩して、それから「ふーた」は家に戻ってこなくなった。
そんなところだろうか。
推測の域をでないその想像に、俺はため息を吐いた。
その時、
「おじさん。それ、ぼくの」
そんな声が、後ろからした。
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