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そして、お昼休み・・・ いつものようにお弁当が入った小さなバッグを持ち立ち上がった。 人事部の部屋の扉を開け、オフィスの廊下を歩く。 通り過ぎる社員に小さくお辞儀をしながら瞬きを繰り返す・・・。 そんな私に今日も社員の皆様は苦笑いをしながら会釈をしてくれる。 立派な社員食堂に辿り着き、端の方の席に座りお弁当箱を開いた。 今日も勿論地味なおかずで味もいつも通り。 私が幼稚園の頃にお母さんが亡くなってしまって、お母さんの代わりにオババが私を育ててくれた。 この味はオババの味。 地味だけど美味しいオババの味。 お父さんの方のオババだからお父さんの“母の味”でもある。 同じおかずをお父さんのお弁当箱にも詰めたから、きっとお父さんも「地味だけど美味しいな」と思ってくれているはず。 そんなことを考えながら大きめのおにぎりをアムッと食べた時・・・ シャッターの音が聞こえた。 その音の方を見てみると・・・ 「天野さん・・・。」 天野さんがスマホを私の方に向けていて、たぶん撮ったであろう写真を確認しながら面白そうな顔で笑っていた・・・。
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