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「お前、おにぎりを食べる時だけは口大きく開けられるよな。」 天野さんが笑いながら私の隣の席に座り、トレーにのった焼き肉定食を食べ始めた。 「・・・なんか言えよ!!」 何も言わなかった私にそう言って、ご飯をモリモリ食べながら私を見てきた。 私を見た瞬間、天野さんがそのご飯を吹き出しそうになり笑い始めた・・・。 「そんな処女みたいな顔すんなって!!」 そんなことを言われてしまい顔だけでなく全身が熱くなってしまった・・・。 「そっか、お前処女だもんな?」 天野さんからの質問に答えず、私はお弁当箱に視線を落とし黙々とお弁当を食べた。 そのお弁当を食べて泣きそうになった・・・。 「・・・なんか言えよ!!」 天野さんが笑いながらまたそう言って、また焼き肉定食を食べ始めていた。 口いっぱいにお弁当箱の中身を詰め込んでから蓋を閉め、急いで立ち上がり天野さんにお辞儀をして食堂を歩き始める。 その間もずっと瞬きを繰り返した・・・。 そしたら涙が少しだけ流れてしまった・・・。
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