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「天野・・・迎えに来たのか。」 高柳さんがそう言うと、天野さんの手が私の両目から離れた。 そして私の手を・・・指を、天野さんが少し強引に絡めてきた。 「迎えに来るだろ、こいつの処女奪われるわけにいかねーし。」 「付き合ってるわけじゃないんだろ?」 「まだ付き合えねーだろ。」 「なんでだよ?」 高柳さんが少し怒りながら聞くと天野さんが無言になり・・・ 珍しく天野さんが下を向いた。 それに少し心配になり天野さんの横顔を見ると、切ない顔をしている。 だから、瞬きをしてから天野さんに笑い掛けた・・・。 「それは、今が1番幸せな顔でいられる写真ですか?」 私が聞くと、天野さんは私を少しだけ見た。 そして困った顔で笑った。 「かなり無理して選んだ写真だな。」 「それなら、今が1番幸せな顔でいられる写真を選んだ方がいいですね。」 「そうだな・・・。」 天野さんが優しい顔で笑い掛けてくれ、それから高柳さんを見た。 「じゃあ、これからこいつの処女貰ってくる。」 急にそんな話になり驚いていると・・・ 「天野って、それしたら終わりなんだよな?」 高柳さんが天野さんに聞いた。 そしたら、天野さんが私の手を強く握ってきた。 「今まではな。 でも、こいつは無理だろ。 今までどうやって隠れてたのか不思議なくらい良い女だからな。」 「でも、今までは2回目はなかった?」 「今まではな。」 天野さんがそんなことを言って・・・ そんなことを言って・・・ 瞬きをしたら、涙が流れた。
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