車の中

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車の中

さすがに……そんなことは……とタカをくくっていたが、17時ピッタリに一条様は来たものの……郊外から、都心部に向かうので、時間がかかる もう時刻は17時30分……こまめに時間を確認するけど、一向に着く気配はないし、時間がどんどん増えていくばかり 大丈夫なはず!と不安で一条様の顔を見るけど、すました顔で外を見ている 一条様がはめた可能性は十分あるけど、門限を話さなかった、知らなかった僕にも責任がある だけど!今までの経験上!これは絶対にはめたとしか思えない!!! 一条様、疑って申し訳ないけど、信頼出来ない……ごめんなさいと謝るとジッと見つめていたのがバレたのか「ん?俺の顔になにか着いてるか?」と聞いてきた もちろん、何も着いていないので「つ、着いてないですよ。べ、別に、見てたわけじゃありませんし」と嘘をつく 「本当か?」と僕の体に近づいてきて、ぐっと顔を近づけられる 僕は、目を閉じて、近づいてくる気配を感じながら仰け反る 「嘘つきだな……ゆず……窓越しにゆずの顔が映っていた。見ていたのは当然分かっている」 「わ、分かってるなら最初っから言ってください!!!もう!」 「つまらないだろ?」と鼻をぷにっと押された 思わず、僕は鼻の高さがコンプレックスなので「あ!鼻の高さが!縮む!!」と言ってしまった 「そんなことで縮むか」と一条様には言われたけど、鼻マッサージとかしたら、自分的には高くなった?って思うし!鼻は重要なのに…… 「鼻が低い方が……というよりゆずが好きだ」と臭いことを言う よくそんな、恥ずかしげもなく…… 「はいはい、茶番は置いといて」と言うと、車が止まったナイスタイミング!と僕は思ったが、一条様にとっては嫌だったのかな?「チッ……」と舌打ちして、すぐ、車を降りて、僕をエスコートしていたけど、すごい不機嫌な顔をしていた 先に行っててと言われたので、少し進んで、一条様の行動を目で追うと運転手さんに、何やら怒っているようだ 運転手さん、何も悪くないのに……と運転手さんが可哀想に見えた そして、僕は何も見てませんよって顔で、すまし顔していたと思うけど、一条様にはバレていただろう 運転手さんに怒るのは本当に違うと思うけどもね そんなことを思いながら、お店に一緒に向かった
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