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色を無くし。
「揺先輩、今どこで何してるんだろう」
好きな先輩が大学に来なくなり、1ヶ月程だった。
その1ヶ月は北川梅臣にとって色あせた灰色な世界だった。
元々、好きな先輩とは学科が違ったが、高校が同じであり、仲が良かった。
好きな人に頼って貰えなかったという事と、高校からの付き合いなのに頼って貰えなかったという事で梅臣の心には傷が入った。
「帰ろう。居ても集中できない」
学校にいても、何も頭に入らない。ならばいても意味がない、そんなことを思いながら重い腰をあげた。
「酒でも、飲みに行こうかな」
普段は行かないバーの並ぶ店の方に体を向け、歩き始めた。
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