奇跡的に

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奇跡的に

「行きつけのカフェあるんだけど、そこの抹茶ラテが美味しいから飲みに行こうぜ」 そんなことを大学の友達に言われたのは30分ほど前だった。 強引に引っ張られ、梅臣はしかたなくカフェに行った。 雰囲気のいいオシャレなお店で、落ち着くにはもってこいの場所だった。 柚さんはこういう場所好きそうだな、なんて考えて一人で小さく笑った。 「そろそろ、本気でまずいかもな」 気持ちを落ち着かせるべく、梅臣は首を軽く左右に振った。 「あれっ?梅ちゃん?!」 声のした方を見れば、小走りで近づいてくる柚がいた。 嬉しそうに近づいてくるものだから、梅臣は小さく吹き出した。 「なんで笑っているの?」 不思議に思ったのか、真横に来た柚は首を傾げた。 「駆け寄ってくる姿が、ご主人様に向かって走る犬みたいだなぁっと思いまして」 「梅ちゃん相手になら、忠実な犬になれるよ?」 本心なのか冗談なのか分からない声色で言われ、梅臣は戸惑いながらも、やめてください、と言った。
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