おにーさん

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おにーさん

「おにーさん、俺とどう?振られたから慰めて欲しいんだけど」 「俺でよければ」 酒を1時間くらいゆっくり飲んでいると、知らない男に声をかけられた。 頭の回らない梅臣は、席を詰めて隣を開けた。 「おにーさん、イケメンだね。俺のタイプ、どストライク」 ハートマークが着きそうなくらい甘く言うと、男は手に持っていた酒を1口飲んだ。 焦げ茶に染められた髪にパッツンな前髪、片耳2箇所にあるシンプルなシルバーイヤリング。 恋焦がれている先輩とは、似ても似つかなかった。 「ね、名前教えてよ。俺は長崎(ながさき)(ゆず)。君とは、これっきりにしたくないんだ」 「…北川梅臣、です」 さっきまでへらへらしていたはずなのに、今はもう、真剣そのものだった。 そんな雰囲気に名乗らないなんてことが出来なかった梅臣は、名前を名乗った。 男、元い柚は嬉しそうに笑って梅臣に抱きついた。 「良かったら、ホテル行かない?君に、抱かれてみたい」 「…………い、いですよ」 熱を帯びた柚の言葉に、気づいたら頷いていた。 それからは、早かった。 2人分の酒代を柚が出して、近くのホテルへ向かったのだった。
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