第2章ー嘘も方便、下卑た雄弁ー

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しかしクロムは眉を寄せる。 「お前、俺にばっか構ってたら彼女とか作れないんじゃねぇか?」 ボーグは視線を逸らし、「別に、いらないし」と言った。 「思春期のガキかよ」 クロムは吹き出す。 そうしてだが、「お前、まさか」とボーグを見下ろした。 「まだナームの事ーー」 「ちち違うよ!違うし!絶対違う!!だ、第一、ナーム様とは身分が違いすぎるから」 尻すぼみに声が小さくなり、俯くボーグ。 そんなボーグを見てクロムはケタケタ笑う。 最低である。 暫し笑って、「そうだなぁ」とクロムはにやけたまま続ける。 「仕事が落ち着いたら、久しぶりに会いに行くか。一応従姉妹だし、この間手紙に「ボーグの顔が見たい」って書いてたしな」 「え!?本当!?」 クロムはニタァと笑む。 「やっぱそうなんじゃねぇか」 「あ!嘘ついたね!流石の僕でも怒るよ!!」 「嘘じゃねぇよ。書いてたのは本当だ」 「え、、、そ、そうなんだ」 ボーグは綻ぶ口元を隠して下を向く。 クロムは笑みを消して、「まぁ、だからよ」と前を向いた。 「早いとこ帝国との癒着の証拠を集めてぇんだよ。一番手っ取り早いのは、奴隷を囲ってる場所を見つける事なんだが」 クロムの言葉に、「そういえば」とボーグが顔をあげる。 「僕を捕まえた鬼。士官学校の時に同じクラスだったジャッキーくんだったんだ」 クロムは聞いてあまり良い顔をせず、「へぇ」と続きを待つ。 「そのジャッキーくんから、若が拾った奴隷を返してほしいって言われた」 「奴隷を?タスクの事か?」 「たぶんね。「うちのガキどもが」って言ってたし。人間が関わってるのだけ聞いたんじゃないかな?ほら、この辺じゃ人間は珍しいから」 「ほう。世間ってなぁ狭いな」 「そのジャッキーくん、空間隔離の場所から出てきたんだよね。それってさ、この件に関わってるってことだよね?」 眉を寄せたクロムは、「なるほど」と笑みを浮かべる。 「タスクはグィドル達が囲ってる奴隷の隔離場所から逃げてきたって事か」 「その可能性は高いよね?」 クロムは頷き、ボーグを見下ろす。 「でかしたぞ。ボーグ」 言葉にボーグも笑みを見せる。 「取り敢えず宿に戻るぞ。上手くいけば、二つ同時に押さえられるかもしれねぇ」 悪人面で笑む二人は、歩く速度を早めていった。
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