1-14. 冬薔薇が散るその前に

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 軽やかな接吻はいつしか深いものへと変化し、音寧の腰を砕けさせる。舌を絡ませていやらしい気持ちを引き出した有弦は四阿の入り口で動けなくなってしまった妻を抱き上げ、力強い足取りでなかのベンチへ急ぐ。繰り返された接吻で身体を火照らせた音寧は冷たいベンチに横たえられ、そのまま彼に覆いかぶされたところでふと我に却る。 「こ、こんなところで……ダメですっ……んっ」 「いいかい、おとね。愛し合う夫婦はいつでもどこでもその気になったら行為に及ぶものだ。つまり俺は我慢ができない」 「まっ、て――あんっ……!」  ぷちぷちとワンピースのボタンをはずして妻の胸を露出させた有弦は、雪のように白い乳房を両手で包み込んで弧を描くように揉みはじめる。まさか外でこのような行いをするために下着をつけさせてくれなかったのかと悟った音寧は、彼に求められるのを拒もうと抵抗を試みるが、すでに乳首は勃ちあがって彼の愛撫に悦んでいる。  それ以前に、祝言を挙げてから調教されるかのように毎回繰り返し彼女を翻弄させた夫の甘い接吻によって、とっくに身体はぐずぐずに蕩けていた。
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