1-16. 時翔る花嫁は初恋の君

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『さすがに肉体と魂がはなれると暗示もきかないわよ。音寧は無能なんかじゃない。鏡の魔力を引き出すことに関してはあたしより上手みたいだし、過去からの召喚にも応じてくれた……今度はあたしが音寧にちからを返す番よ』 『返す?』 『そう』 『どうやって?』  綾音と音寧は互いに見つめ合って、沈黙する。  嫌な予感がすると有弦が双子を見据えれば、綾音が笑う。 『すこーしだけ、歴史を変えるの』  震災をなかったことにすることはできない。  綾音と傑が死ぬことを回避することもできない。  けれど、綾音は晴れやかに笑って音寧に告げる。 『そうすれば、音寧と資くんの間に可愛いやや子がすぐに生まれるわ』
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