2-01. 真夏の朝の再会

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「……有弦さまと?」  きょとんとした表情の音寧に、綾音は目をまるくする。もしかして、双子の妹は夫から何も知らされていなかったのだろうか。いや、でも別れの際に出逢いをやり直す、と言っていたし……綾音はしどろもどろになりながら音寧の青みがかった黒い瞳を見据えて、告げる。 「いま、破魔のちからはあたしの身体のなかに封じられている。あたしが精力を蓄えて破魔のちからを保持しているとはいえ、このちからをすべて明け渡すためにはさらなる媒介が必要になるの。トキワタリの鏡が主人となったものの淫の気を養分にして魔法を使うように、あたしたちも集めないと魔法が使えないわ」 「集める……って?」  破魔のちからを身体に封じるためには精力が必要なのだ、という話は音寧にとって初耳だった。鏡の魔法が使えるようになったのはたまたま音寧が有弦と子作りのために性行為を行った結果だと綾音は言うが……それ以外にも集めないといけないものがあるのだと、つづけられた綾音の言葉に、音寧は絶句する。 「――男の精液よ」
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