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「男の、精液?」
「うん」
双子の姉の言葉を前に凍りつく音寧を見て、綾音は乾いた笑みをこぼす。
有弦は未来の妻にそこまで説明していなかったらしい。説明したところで、指を咥えて待っていなければいけない夫のことを考えれば、黙っていても仕方のないことなのかもしれない……たとえ過去の自分が彼女と関係を持つと知っていても。
「音寧の場合だと、資くんとこの世界でこれから身体を繋げるってことになるのかしらね」
「でもそれって婚前交渉になるんじゃないの?」
「別に禁忌ってわけでもないでしょ。もはや生娘でもあるまいし」
なんせ異能を使いこなすには自身が持つ“精力”を高める必要があるのだと綾音は真面目な表情で双子の妹へ伝える。そのちからを返すためにも同じように男の精をたっぷり受けた器を用意しなくてはならないのだ、と。
「時宮の異能は精力に比例すると言われているの。だからあたしも傑と婚約が決まってからはことあるごとに身体を重ねているわけなんだけど」
「さらりと爆弾発言しないでください」
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