2-02. 未来の夫と過去の顔

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「破魔のちからは暴発させると大変なのよ? その分、邪悪なものを浄化するちからも強力だから常に精力を高めておくことが大切なの」 「そういうものなんですか?」 「時宮の異能持ちは年頃になるとその手の修行を受けるんだけど、音寧はその頃にはもう静岡に行っていたから何も知らなかったのよね。言っておくけど、破魔のちからに限らないわよ。音寧が時を翔るちからでこちらに召喚された際にも同じような原理が働いているわ」  時を翔るちからを使って大正十二年の夏へ来た音寧の身体はいま、精力がほとんど奪われた状態だと綾音は苦笑する。時空干渉の魔法によって有弦が彼女に与えた精が魔力に変換されて使われたからだという。音寧に実感はわかないものの、双子の姉の言葉には妙に説得力があった。 「だから初恋をやり直す……?」  腑に落ちない表情の音寧だったが、有弦に抱かれた際にあれこれ言われたことを思い出し、ああ、と頷く。 「そういえば、有弦さま……ほかのひとに見られても感じてしまういけない女の子だっただろ、なんて……」 「っ……!?」
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