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「……帝国第参陸軍特殊呪術部隊?」
「公にはされていない、日本軍の秘密部隊だから音寧が知らずにいたのも仕方がないと思うわ。退役した彼にも守秘義務ってものがあったでしょうし」
「そう、なのですか……」
――あやねえは、わたしの知らない有弦さまのことを知っているんだ……
チクリと痛む胸の異変を無視して、音寧は彼女の言葉を耳底へと叩き込む。
「時を味方につける時宮の姫君は、多くの殿方に狙われていたの。彼女に“精”を与えた者が、破魔のちからに肖れるから」
まるで他人事のように綾音は説明する。音寧が時宮の家から逃れた後に訪れた、破魔のちからを巡るあれこれを。
「狙われる?」
「誘拐されそうになったり、強姦されそうになったり、まぁいろいろあったわ。傑があたしを盗んでくれるまでは」
「盗、む……って、え!?」
――盗まれるのを警戒しているみたい。
四代目有弦の末の妹、多嘉子が言っていたのは、このことだったのだろう。
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