2-03. 協力者は花盗人

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 異能を持つ女を盗み、男の精を媒介に魔力を扱わせることで彼らは特別なちからを手に入れられる。綾音の場合はそれが時を味方につける強大な破魔の能力だから尚更狙われていたのだろう。そしてそのことを有弦……資もまた知っていたから、祝言を挙げた夜から音寧を監禁同様の扱いで洋館に留めさせたのだ。身代わりの綾音と比べてちからが弱いと思ってながらも、他の何者にも染められないように。 「お父様は年頃のあたしに破魔のちからを扱わせるために軍の協力を仰いだ。婚約者候補に値するであろう男たちの精液を媒介にして。そのうちのひとりが、岩波資……将来有望とうたわれていた特殊呪術部隊所属の軍人だった」 「うそ」  信じられない、信じたくないと音寧は耳を塞ぐ。  けれども双子の姉は残酷な現実を彼女に囁く。
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