2-03. 協力者は花盗人

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「実際に身体を重ねたわけじゃないわ。ただ、彼は仕事であたしに異能のちからを発揮させるために精液を提供した。あたしは十五歳になった頃から彼を含めた数名の男たちの精液を口から摂取して、そのちからを帝国軍のためにつかっていた。どんな風に時を味方にしたかは聞いていない、けれど軍はその後……きっかけは首相の暗殺事件だったかな……から資くんを時宮邸の密偵として雇わせた。あたしが他の男に靡かないように。他の男に盗まれないように。いま思えば軍の人間は時宮の家とどこかで繋がりを持てたらと考えていたのかもしれない」 「……」 「なに不貞腐れているのよ。資くんは律儀に仕事として時宮邸で働いていただけで、けしてあたしに手を出そうとはしなかった。けど、お父様は彼となら既成事実を起こしても仕方ないとでも思ったのかもしれない……傑との婚約を渋々認めてくださった今となってはわからないけど」
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