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「それで、明日からしばらく資くんにあなたの護衛をさせるから、彼を誘惑してたんまり精液を搾り取りなさいな」
婚約者の発言にやりと笑う傑がまるで異国の悪魔のように見える。
あっけらかんとした表情の双子の姉は、なぜ音寧が硬直してしまったのか理解していないらしく、傑に身体を凭れかけたまま、楽しそうに話をつづける。
「後で部屋を案内するわ。ここは麹町迎賓館、外国からいらした国賓が宿泊する場所として提供されているけれど、客がいないときは一般向けのホテルとして開放されたり、軍が借り上げて会議や夜会に使ったり、アジトにしたりしているの」
「軍も?」
「そう。あなたが未来から召喚されたと知ったら、軍は放っておかないと思うわ。だから木は森のなかに匿うわけ。あたしが連れてきた縁戚の姫の存在は報せる、けれどその異能の内容までは教えない。それに、破魔のちからを欲していた軍の人間なら、姫の護衛に退役したばかりの資くんがついたことを悪くは思わないはず」
「はあ」
「姫が心配することはないよ。あとは岩波山の財力で黙らせるから」
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