2-04. 鏡越しの逢瀬

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 夏の夜、じっとりと汗ばむ着物をはだけさせ、音寧ははじめての自慰を愛する夫に向けて己の快感を曝けだしていく。  秘処からじわりと滲み出した愛液を指にまぶして、指の腹で秘芽を弄れば、結婚してから何度も絶頂を教え込んだ夫の手淫を思い出して下腹部が勝手に疼きだす。鏡を寝台の柱に立て掛けて、鏡の向こうにいる夫に見せつけるかのようにもう片方の手を着物の襟元に忍び込ませて、音寧は甘い声で啼く。 「あぁ……有弦さま、おとねはいま、自分の指で乳首と下の花芽をいじっております……っ」 『――どんな風にさわっているの?』 「下の方はゆっくり、つんつん……って。お胸は左右の頂きを摘んで……捻って……っ」 『そのままつづけて。俺にふれられていると思いながら、感じて』 「あ……あっ、有弦さま」 『指の動きをはやくしてごらん、いつも俺が苛めているみたいに』 「は、ぁあっ……んっ、そんなに、同じ場所ばかり攻めないで……」 『いいね、興奮するよ』
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