2-04. 鏡越しの逢瀬

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 満足そうな有弦の声が耳元を掠めていく。彼女の淫の気が流れてきたからか、鏡の曇りがすこしずつ晴れて音寧の痴態がぼんやりと見えはじめていた。けれども音寧はそのことに気づかないまま、自分の手で快楽を追い求めている。 「有弦さま……駄目ですっ、()ってしまいます……っ」 『まだ、なかもさわっていないのに?』 「あ、ぁ……なか、も……さわって」 『自分でさわるんだよ』 「ひゃあっ」  有弦の言葉に素直に従って秘処へ指を滑らせた音寧は愛液に溢れた蜜壺の媚壁を擦りたて、艶を帯びた声をあげる。 「あぁん、あぁ……ぃく――っ……ああんっ……っ!」 『ひとりで達けたね』 「――ひゃあぁ、有弦さ、まって……お顔が」 『おとねが上手に気持ちよくなったから、こうしてまた顔を見ることができたよ』 「んっ……恥ずかしい、です」 『いやらしくて素敵だった。とろんとした瞳をしているね。いますぐこの腕で抱きしめてあげたいくらいだ』 「わ、わたし、だって……有弦さまに」  気持ちが緩んだのか、音寧の瞳からぽつり、と涙がこぼれ落ちる。  ぎょっとする有弦に、大丈夫です、と笑って、音寧は告げる。
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