2-07. 淫魔に魅入られた姫君

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   * * *  国賓が宿泊する特別な部屋というだけあって、付属する浴室のつくりも豪華だった。白と藍色のタイルが張り巡らされた和洋折衷な浴室の中央には金色の縁どりが印象的な楕円形の浴槽があり、湯船には真紅の薔薇の花びらが浮かべられている。  噎せ返りそうな甘い花の香りが漂う浴室に連れ込まれ、音寧は弱々しく抵抗する。 「だ、大丈夫ですから……」 「恥ずかしがる必要などない、俺はおおきな石だとでも思って」 「石は喋りませんっ」  敷布にくるまれた状態で横抱きにされたかと思えば、非現実的なお風呂に連れ込まれ、軍服を着たままの資にされるがまま、音寧はたっぷりのお湯が張られた湯船のなかへ追いやられていた。  軍の規律に則って禊をする必要があるからと、必死に掴んでいた敷布も剥ぎ取られ、薔薇の花びらが浮かぶ透明な湯のなかに音寧の白い裸体は沈められてしまう。塩分濃度が高い湯なのか、すこし身動ぎしただけでも身体がぷかりと浮かぶため、勃ちあがったままの赤い乳首や薄い和毛が湯船から顔を出して、その都度音寧は羞恥に頬を染める。
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