2-08. 禊で暴かれる身体

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 音寧が「さわって、確かめてください」と渋々頷いたその瞬間、資がはめている白手袋が仄白く輝いた。  魔を払う効果がある手袋にふれられたら、未来から翔んできた自分はどうなってしまうのだろう? 異物として認識されて存在を消されてしまうのではないかという疑念であたまがいっぱいになったところに、彼の手が湯船に沈み、音寧の身体を撫でていく。 「……あっ」 「綺麗な身体をしている。やはり魔に魅入られるだけあるんだな」 「そんな……やだ、くすぐったい、です」  とぷん、とお湯が揺れて浮かんでいた薔薇の花びらが外へと流れ落ちていく。横たわっている無防備な音寧の白い身体にも真紅の花びらが貼りついていて、なんだか落ち着かない。  涼しい顔をしている資は彼女の声を無視して華奢な鎖骨をなぞり、肩から胸へとすすんでいく。  けれど、乳房に散る赤い斑点を前に、表情を変える。 「これは、花びらではない……?」 「ひゃんっ」 「すでに悪しき魔の証をこんなにも刻まれているとは……可哀想に」 「っ……!」
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