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――淫魔に魅入られた姫君、か。
浴室での禊を行い、自分の手と口でどうにか絶頂に導いた資は、そのままのぼせて意識を失ってしまった彼女を抱きかかえ、途方に暮れた表情をする。
綾音の縁戚にあたる異能持ちと言っていたが、まさか彼女を淫魔が狙っているとは。それも、あの男が関係している……?
「親父なのか? 姫の身体を淫らに調教したのは」
自慰で身体が昂ぶっていたとはいえ、女性経験のない自分の手であんなふうに呆気なく達するとは思わなかった資である。異母兄の傑と綾音が身体を重ねている姿を見たことがあったから、こうすれば女性は気持ちよくなれるのだろうなという想像で彼女を攻め立てたのだ。ただ、いくら承諾を得たからとはいえふだんとは異なる場所で異なる男にふれられたショックは大きいだろう。
「……ン」
「――姫。このままでは風邪をひくぞ」
湯船から気を失った彼女を抱き上げ、資は苦笑を浮かべながら浴室を後にする。
脱衣室に備え付けられていたタオル地のおおきなガウンを羽織らせて寝台へ横たえれば、すぅすぅと無防備な寝息が聞こえはじめる。
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