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もし彼女の護衛に自分以外の軍部の人間が就いていたらと考えると、資の胸が鋭く痛む。魔に犯された彼女を清める役目を担えたのは僥倖だったと呟く彼を見て、音寧も思わず応えてしまう。
「わたし、も……禊をしてくださったのが資さまで、良かったです」
顔を赤らめながら自分の名を口にする姫を前に、資の鼓動が激しくなる。深入りしてはいけないと思っているのに、彼女が自分を見つめる都度、その視線をいつまでも自分だけのものにしたい欲情に駆られてしまう。
彼女の肌に刻まれている証や、膣奥まで自分の指を難なく受け入れた昨晩のことを思えば、彼女が生娘ではないことに失望にも似た感情を覚えたが……それでも彼女が自分の禊を受け入れてくれた現実に、舞い上がりそうになってしまう。
けれど、そう考えると未だ彼女の内部には淫魔が巣食っているのかもしれない。冷静になった資は乾いた笑みを浮かべ、目の前の彼女に試すように告げる。
「貴女のなかに逃げ込んだ淫魔はずいぶんしぶといみたいだな」
「え?」
「禊によって一時的に魔の気配は消えたけれど、完全には払えなかった。たぶん、貴女の内部に隠れてしまった」
「そんな……」
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