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異能を解放する、と言いながら己の手で帯をほどき、着物を脱ぎ捨てる音寧の姿を前に資はカッと頬を赤らめていた。
「姫、なにを……」
「わたしを、慰めてくださるのでしょう?」
妖艶な微笑みを向けられ、資は黙り込む。
それを肯定と受け取ったのか、音寧は肌着も自分の手で床に落とし、真っ白な裸体を資の前へさらけだす。
いまここに、トキワタリの鏡はないから、淫の気配を資は感じていないはずだ。それなのに自ら着物を脱ぐ彼女を見て、彼は何を思うのだろう。
「……食事は」
「そういえば、まだでしたね。だけどここに、美味しそうな初物がありますよね?」
まだ、誰とも結ばれたことのない過去の夫の若い肉体を前に、音寧は興奮していた。そういえば自分から夫を誘ったことなど結婚してから一度もなかった。まさかこんな形で彼を誘惑するようになるなんて。
あの濃紺の軍服を自分の手で脱がせて、お互いの気持ちよくなれる場所を教えてあげたい。どうすれば未来の妻を導けるか、何も知らない彼を、今度は音寧が自分の色に染めさせて、彼の精液を搾り取るのだ。
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