2-10. 未熟で甘やかな契約

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 薔薇のような唇から蝶のように飛び立った彼の指は次の花、淡い桜色の乳首へと舞い降りて、蜜を吸うかのように親指とひとさし指を使って捻りはじめる。 「そうまでして、俺を試したい?」 「あっ……」  自分から身体を差し出していながら、資が音寧に何も言わずにふれてくるとは思いもしなかったから、彼の突然の攻撃に声を失ってしまう。  資はもう片方の手で、彼女の顎に手をかけて、榛色の右目で音寧を睨めつけている。  ――もしかして、怒っている……? 「たしかに慰める、とは言ったが。俺はその想い人の身代わりになるのは嫌だ」 「え」  身代わりも何も、未来の彼方のことなのに……と言葉を失う音寧を見て、資は顔を曇らせ、乳首を撚る指をくるくると動かしていく。乳輪をなぞるような彼の指の動きに翻弄されて、音寧はそのまま彼の方へ身体を寄せてしまう。すり寄ってきた彼女を腕で抱きとめ、資は音寧の耳元できっぱり告げる。
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