2-11. 初恋の自覚と口づけの練習

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 それがいいわ、とイタズラを思いついた子どものように微笑む綾音を前に、音寧は何も言えなくなる。 「資くんに露見しないように、ちゃんと計画を立てないといけないし、こっちも結納の準備で忙しいから、決行は葉月に入る前の方がいいかしら……」 「あの、あやねえさま?」 「心配しないで。あたしに任せといて! 音寧は資くんにどうすれば気持ちよくなれるのかそれまでにしっかり教えてあげなさい。身体を繋げることができなくてもその前段階まで到達できれば、そこから先は薬でもなんでも盛って既成事実つくっちゃえばいいの……ね?」 「あやねえさま、顔が笑ってないですよ」 「ふふふ。そんなことないわよ?」  あたまのなかで一方的に計画を練りだす双子の姉を見つめながら、音寧は大丈夫かな、と一抹の不安に苛まれるのであった。
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