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ちいさな彼女の舌が自分の口腔に入ってきたときの驚きとときめきに、資は目眩を起こしそうになった。呼吸をするのも忘れていたから「鼻で息をするのですよ」と諭されてしまった。女性と経験のない資は彼女に従うがまま、はじめての口づけをした。そしてその柔らかさと甘さに魅了された。その先にさらなる快楽が待ち受けていることを忘れてしまうくらいに。
だからはじめての口づけに浮かれた旨を資は素直に口にした。
その応えは、まさかの腹の虫の音だったけれど。
「んふっ、た、資さま」
「姫は啄むような接吻もすきだよな……っ」
身も心も父親から寝取って自分のものにするためには未熟な自分が成長する必要がある。はじめての接吻のあまりの気持ちよさに、そこから先のことが考えられなくなってしまった資は、自分が発したお腹の音に呆気にとられていた彼女を見て、まずは口づけからはじめたいと助け舟を出した。
「息が……っ」
「鼻で息をするように教えてくれたのは姫だったじゃないか」
「た、資さまの口づけが荒々しいからです……っ!」
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