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口づけを増すごとに色っぽい夜着を着た姫君が蕩けた表情を向けてくれる。「資さま」と自分の名前を呼びながら。
これが魔に犯された状態だとしたら、相当厄介だが、彼女はそうではないと言う。禊を行ったときと似て非なる姫の淫らな姿を前に、資は落ち着かない気持ちになっていた。
彼女の言う「もうすこし先」がどのくらいなのか、資は試すように音寧の夜着に手を伸ばす。
「異能持ちの女は……ちからを扱うため精力を定期的に摂取する必要があるとは知っているが」
「あやね、さんのように?」
「ああ。姫も、そうなのか? 淫魔に魅入られたのも、岩波山の呪いにふれたのも、異能を発揮する必要があったからだったのか?」
確認するように彼女の顔色を覗き込むが、そんなことを訊いてどうするんだと口づけられてしまう。仕返しだとばかりに夜着越しに身体を撫でれば、ひくひくと物欲しそうに女体が疼く。
「あっ……」
「じゃあ、俺の契約に頷いたのも……俺の“精”が欲しいから? 手近にいた男で済まそうってことか?」
「それは違っ……んっ!?」
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