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「だから、こちらから行商を連れてきたってわけ。請求は軍の経費で大丈夫?」
「……傑。俺はまだつかうとは言っていないが」
「彼女は興味津々みたいだけど?」
机の上に並べられた媚薬の数々を顔を真っ赤にしながら説明している征比呂と、それをうんうんと真面目に受け入れる音寧の姿が目に入った資は唖然とする。先程までの険しい表情は薄れ、征比呂もどこか楽しそうだ。
「じゃあ、こちらが西洋のお酒に似た味の」
「薬酒ですね。血流が良くなる効能がありまして」
「身体がぽかぽかあたたかくなりそうですね」
「はい。身体の負担も少ないですからおすすめですよ」
結婚初夜に有弦から飲むように命じられた薬酒とよく似た見た目の液体について説明を受けた音寧は、やっぱりそうだったのですねと頷き、他の商品に目を向ける。
「こちらは?」
「軟膏なので直接塗る形になります。薬酒よりも効果は遅いです。ちょっと玄人向けかなぁ」
「綾音につかったら気持ち良さそうによがってくれたよ。姫も興味ある?」
「……えっと」
「傑。お前つかったのか」
「趣向を変えるのも乙だぞ、資」
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