2-15. 双子の姉の二度目の企み

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「――で、結局資くんとまだ一度も身体を繋げていないわけ」  自分とおなじ顔をした双子の姉、綾音に問い詰められて、音寧は弱々しく是と頷いていた。  二度目の禊を不本意なかたちで終わらせたあの日から、すでに五日が経過している。変わらず朝と夜の接吻をしてくれる資だが、音寧の身体を気遣ってか、ここ数日は必要以上の接近を避けて部屋の外の扉で護衛に徹するようになっていた。魔の気配も消えているようだし、しばらくはゆっくり休めるようにと配慮してくれたのだろう。とはいえすでに五日も経過している音寧からすれば、いまの状況はもどかしく物足りないものであるのも事実。  なぜなら音寧はもともと月経痛の症状が軽く、量が多いのも初日だけで数日しないうちに経血も止まるからだ。五日目ともなれば経血の名残も薄れてくるし、入浴する支障もなくなる。  けれど資はもう大丈夫だと言う音寧を信じてくれない。まだ身体が辛いだろうからもうしばらく寝台の上でおとなしくしていろと言われてしまった。その上、いまになって自分が介抱するより安心できるだろうからと双子の姉を呼び出し、音寧の話し相手としたのである。
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