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身体が火照っているのは事前に彼から飲まされた薬酒のせい、だろうか。
ジジジ、と幽かに揺らぐ洋燈の淡いひかりが邸の片隅にある夫婦の寝室を照らしている。夜だというのに明るさを保つ光源の前で、寝台の上で着ていたものを脱がされた妻は、真っ白な裸体を照らされ、すべてを夫となるひとに晒されていた。
そのまま恥ずかしそうに瞳を伏せれば、彼に顎を持ち上げられてしまう。どうにかして視線を重ねた夫の榛色の双眸が、困ったような、それでいて楽しそうに煌めき、音寧を怯えさせる。
「怖がらないでおくれ、我が花嫁どの。ようやく俺の手のなかに堕ちてきてくれたのだからな、大層可愛がってあげようではないか」
「っ……」
夫婦となる初めての夜の知識など、何も持たされなかった。
ただ、夫となる男性に逆らってはいけないと、それだけは強く養母から言い聞かされていたから、音寧は素直に彼に求められるがまま、羞恥に耐えながらも身体を捧げている。
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