1-05. 祝言と監禁

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 西欧から渡ってきた違法な媚薬が法外な値段で取引されていたのを思い出し、有弦は苦笑する。綾音が傑と資を間違えて襲ったほどのあの薬はいろいろとひどかったものだ。けれどそのおかげで有弦は筆おろしができて、今日の日を迎えることができたのだ。童貞のまま花嫁を迎えていたら、きっとわからないもの同士右往左往してしまったことだろう。  恥ずかしがるであろう彼女を快楽で染め上げるために、自分の身に残っているほんの少しの罪悪感を消すために……有弦は用意した薬酒を使うのだ。  双子の姉のように、妹も啼くのだろうか。  未だ見ぬ花嫁の痴態に期待する愚かな自分を蔑みつつ、有弦は祝言の黒振袖から初夜のための夜着へと着替えさせられるであろう可憐な新妻を迎えられるよう、控え室に戻り、自身が着ていた袴を脱ぎ洋装へ姿を変えて、荒々しく階段をのぼっていくのだった。
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