1-06. 呪詛と渇望

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 年が明け、大正十四年がはじまってからも、音寧は彼に華奢な腰を鷲掴みにされ、がつがつと背後から穿たれていた。正月休みの間は有弦も寝室から一歩も外に出ず、ずっと音寧の傍で、華奢な彼女の身体を愛でつづけていたのだ。 「それにしてもずいぶん色気がついたな」  吐精を終えた有弦ははぁはぁと息を乱す音寧を見下ろし、困惑した表情を浮かべていた。 「……わ、わたしをこんな風にしたのは、有弦さまではありませんか……」  途方に暮れった表情で言い返す音寧を掻き抱き、有弦は自嘲する。 「悪い……君を見ていると、止められないんだ。俺もやっぱり卑劣な岩波の男でしかない……」 「ゆう、げんさま」  初夜が明けたときに、有弦が音寧に話したことを蒸し返す彼を前に、息をのむ。  岩波有弦の名を継いだ者たちを襲う呪詛ーー渇きにも似た貪欲な性欲と彼に番うことになる女性への執着。  その話を聞いたときは冗談だと思っていた音寧だったが、実際に抱かれると、冗談ではなかったのだと思わずにいられない。
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