1-11. 身代わり同士の苦悩

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 ふたりきりの四阿に、カランという物音が響く。  それは、首にぶら下げて肌身はなさず持ち歩いている姉の形見の鏡につけていた紐が切れて落ちた音。  けれど、多嘉子の話であたまのなかがいっぱいになっていた音寧は、鏡を庭に落としてきたことに気づかないまま、彼女が辞した後、邸へと戻ったのであった。
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