1-12. 空回りした溺愛の果て

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 ――あの、「やさしくしないで」と音寧が反旗を翻したときから。  有弦は楽しそうに妻を寝台の上へ押し倒し、両腕を枕元よりも高い場所へと誘導する。 「着物の帯よりも、サテンのリボンの方が肌触りがいいかな……服はそのままでいいよ」 「……はい」  あたまの上で両手首を黒いリボンで結ばれて、壁際の支柱に固定された音寧は、獰猛な瞳で見据えてくる有弦の前で、顔を赤らめる。 「そんな風に物欲しそうな顔して。かわいいな」 「……んっ、有弦、さま……」 「口吸いだけで瞳を潤ませて、俺を見つめてくれるんだものな……だけどこれはお仕置きだから」 「――きゃっ」  どこから持ち出したのか、有弦は小刀を取り出して鮮やかに音寧の夜着を切りつける。  夜着の下は何もつけていない音寧は、思いがけない彼の行動を前に悲鳴をあげる。  はじめに断たれたのは右側の肩紐。ぷつりという音とともに、はらりと乳房が片側だけ顔を出す。 「!」 「美味しそうな乳首が顔を出したね。裸に剥く前に、味見しようか」 「っ、あん……」
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