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捜査、そして…
「誰かいたら返事をしてくれ!」
そう声をかけながら、悟は他の階も見て回った。しかし、誰もいない。何の音も聞こえない。
悟は、自分ひとりではどうにもならないと悟った。
「警察……!」
徒歩数分のところに交番があることを思い出し、悟は廃ビルを出た。
冷たい空気が冷や汗で湿った悟の身体を襲う。
ぶるっと身震いした悟は、少し冷静になった。
こんな紙切れ一枚と自分のたった2回のわずかな目撃証言。これだけで警察は動いてくれるのか……?
子どものたちの悪いいたずらの可能性の方が高いのでは?
そんな考えが頭の中をグルグル回る。
いや、でも……
悟は、考えがまとまらないまま、『たすけて』と書かれた紙を手に交番の方へ歩き出した。
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