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壁に寄せられた長机が一つと、パイプイスが立てかけてあるものも含めて4脚ほどの小さな部屋で、悟は警察官に促されるまま椅子に腰かけた。
向かい合うように警察官も腰を下ろす。
「さて……あんまり長くお引き止めするのも悪いから、さっそくだけど確認させてもらっていいかな?」
最初に見た人の良い笑みは消えているものの、悟のことを気遣ってか、優しい口調で話し始めた。
「はい。なんでしょうか?」
「うん……阿辺さんは、あのビルの外で落ちてきた紙ひこうきを拾った。それは間違いないね。現物も持ってきたわけだし」
「はい、そうです」
「ああ、あれが、貴方のいたずらではない、ということは調べがついてるから安心してね。そして……あのビルに男の子がいるのを見た。これも、間違いないですか?」
「はい……そうですが……」
少し語尾が強くなった警察官に戸惑いを感じつつ、悟は答えた。
「そうですか……その少年とは、まったく面識がなかった?」
「はい」
「本当に?」
「……はい。本当です」
取り調べを受けているようだと悟は思った。
悟の顔が強張っているのを見て、警察官は自分の表情をゆるめた。
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