風に舞う

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 ピンクのひらひら、レース付き。  手の中に収まるハンカチのようなそれは、間違いなくパンツだ。 「なんで?」  パンツが降ってきた先を見上げても、同じような窓が並んでいるだけで特に人影も見当たらない。    いやいや、なんで? ここ学校のグラウンドよ? 百歩譲って、アパートとかならわかる。干そうとしてとか、干してて風に煽られてとか。 「えっ?」  まじまじと見ながら声が出てしまっていたようで、慌てて周りを見渡す。周りには聞こえていなかったようで周りは、黙ってグラウンドで走り回っている。  私だって本当は、ちゃんと走ってる予定だったんだ。ヒラヒラって目の前に、()()が落ちてこなければ。  同性の物であろうパンツ……同性だって気まずいよ、こんなの。  くしゃくしゃと丸め込んでポケットに突っ込む。掴んでしまったからには、グラウンドにポイッと捨てる勇気もなく。生徒会室の前にある忘れ物ボックスにでも突っ込んでおこう。
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