忘れないで

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 その後、詩穂と過ごすようになった彩仁。一度だけ、詩穂に自分の声を聞かせることに成功します。  「ずっとこうしていたいなぁ」  詩穂の言葉に、それって……となった彩仁ですが、うやむやなままで終わってしまいます。  その帰り道。詩穂と連絡を取り合いながら歩いていた彩仁に、詩穂は自分の誕生日がクリスマスだと告げます。  何がほしい? と聞く彩仁の質問に対する答えは「何も要らない」というものでしたが……たった一つ、彩仁にしか叶えられない願いだけを、詩穂は淡々と文面で伝えてきました。  その少し後、彩仁にとんでもない話が舞い込みます。夢を叶えられるビッグチャンスでしたが、それは、詩穂の約束した日と被っていて……。  自分の夢を取るか、詩穂の願いを取るか。悩みに悩んだ彩仁が、何かを決意したところで終わり、舞台は3年後に移ります。  そこで彩仁は、運命とも言える再会を果たして……。  この話は、妄想コンテスト「また会えたね」に応募した作品です。  切ない恋愛要素、難聴、そして再会の要素を詰め込んだ結果、制限が8000字なのに対して、7000字ちょっとというギリギリを極めました。  「最後の終わり方が涙腺に来る」  「音を失っていく中で前を向く詩穂さんカッコいい」  様々な感想が友人などから届きましたが、こんな内容が多かったように思えます。  実は、作者である私、詩音も21歳の秋に突然音がほとんど聞こえなくなってしまい、今は筆談や手話で生きています。  この物語はハッピーエンド。私のこの先の人生も、ハッピーエンドで終わって欲しいと、願うばかりです。
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