変態と林間合宿

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 世話焼き気質な氷室くん──自覚があるのかないのかは定かでは無い──にお世話されながら、幸せそうに皿を空にしていく織部さま。  ちなみに対抗しているのか、草薙くんもぎこちないながらにお水を差し出したり、次のお皿を寄せてみたりなど、健気に頑張っていた。うーん、やっぱ純情攻めも捨て難い。なんかめっちゃ応援したくなった。  ほんで、それにその都度コクコク頷いて感謝を伝えちゃう()()()推しが大っ変、眼福だ。んもぉ、有り得んくらいがわ"い"い"! 興奮し過ぎて俺の寿命、多分3年は縮んだ。    はぁ〜……困るわ〜……しあわせ。  あどけない織部さまプライスレス。  食事中は無防備になるとはいうが、これはいいものを見た。今まで食堂で食べる姿を何度も見てきたはずだが、こんな織部さまは一度だって見たことがない。    もしかしなくても織部さま……意外と庶民料理好きとか?    氷室くん以外が作った……言っては悪いが、比較的味も普通であろうカレーも美味しそうに食べている。これ高確率でこの品目自体が好きなのでは。    ああ、織部さまのギャップが渋滞を起こし過ぎでツライ。  てか既に供給過多で死にそう。  ……まあ、萌はベツバラだから大丈夫だけどネ!!  と言うことで──…   「あーっ、全裸待機必至……っ!!」    気付いたら叫んでいた。  そして、織部さまはその間に全て完食し、綺麗に口元を拭っていつものどこか薄ら寒い微笑を湛えていた。あー……残念。もうちょっと推しのレア仕草みてたかったなぁ。 「矢倉くん」 「ハイ!!」  今度はどんな萌をもたらしてくれるのだろうかこの推し様は、といった心境のおれは『これから貰えるオヤツへの期待100%!!』の如きプリチーなドッグフェイスでその場に正座し、非常にわかりやすい『待て』を披露した。  ……しかしその後、おれは自分の耳を疑う言葉を呟かれ、脳みそが停止する。   「脱いで?」   「んへ────」  にっこりと目の前にしゃがみこんだ推しに返事をすれば、さらに甘い顔でそう微笑まれてしまい、無事おれの呼吸は止まった。
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