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「笠井、張り切りすぎ! 笠井がやるんだったら面白そうだから俺もやろうかな」
「俺もやりたい!」
そうやって、なんと五人もの立候補者が出た。黒板の前に男子五人がずらっと並ぶという面白い光景ができあがった。入学から二日目で、もうこんなに仲間がいるなんてすごい人がいたもんだな、そう思って改めて「笠井」くんを見やると、
え! あの人が笠井くん?
この時初めて私は入学式の日に出会った笠井くんが私と同じクラスということに気がついたのだった。黒板の座席表にも名前は書いてあったのに全く気づかなかった。一番前の席だったから、あまり周りを把握していなかったのかもしれない。笠井くんも私のこと気がついたかな。同じクラスだったことがなんだかうれしくて、私は、気合いを入れてじゃんけんをする笠井くんを見守る。
五人でやるじゃんけんはなかなか決まらない。もどかしくなりながらも笠井くんが体育祭実行委員になれますように、と祈った。
「えと、じゃあ笠井くんと鈴木くん、お願いします」
笠井くんの熱い気持ちと私の願いを神様がくみ取ったかのように、見事笠井くんが体育祭実行委員に選ばれた。選ばれた時は自分のことのようにうれしかった。
ずっと。きっとはじめて会った時から惹かれていた。でも結局意識してしまって笠井くんに話しかけることもないまま、日にちだけがただただ過ぎていった。
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