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びっくりしながら、後ろを振り返るとそこには香奈の姿があった。
「香奈‼」私たちはうれしさの余りその場で抱き合った。
「知ってる人もいないし、みんな固まってるから話しかけづらくてさ。どうしようかと思ってたんだよね。そしたら時間ぎりぎりになって由希子が来たからびっくりしたよ!」
「私も全然香奈のこと気づかなかった。焦ってたから、あんまり黒板も見てなかったし」
「私も気づかなかった。普段名前で呼んでるから、名字見てたとしてもぱっと頭に浮かんでこないもん」
香奈がおかしそうに言う。
「ほんと香奈が同じクラスでよかったよ。よろしくねー」
「こちらこそよろしくね。っていうか由希子、髪ぼさぼさー!」
笑った香奈の顔はまぶしい。それまで、おでこの上で切りそろえられていた前髪は伸びて、ふんわりと斜めに流してある。ちょっと会わなかっただけで雰囲気が変わった。
「由希子、どしたの? 早く行こう」
香奈の声にはっとすると、教室にはもう私たち以外は誰もいなかった。私はあわてて香奈と一緒に体育館に向かった。今日は慌ててばかりの日だ。でもよかった、香奈が同じクラスで。私はほっと胸をなでおろした。正直、中学が一緒でもクラスは違うかも、と不安だった。
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