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「待って待って待って待って!?」
その頃のテイル。実は魔王城のゴミ回収の仕事をしていて、緊急会議に遅刻していた。
現在扉の前で話を聞いて、真っ青になっているところである。
「の、呪われた聖剣ってまさかあれじゃないよな!?」
心当たりがひとつ。
魔王様のお部屋の片付けをしていたら、そのへんにぽーんと捨て置かれていた折れて錆びた剣のレプリカっぽいものを発見したのだ。どう見ても使えないだろうと思って、ゴミ袋に入れて捨ててしまったばかり。それも、面倒くさくて燃えるゴミと混ぜてゴミ収集車に渡してしまったのだ。
今頃は、ごみ処理施設で他の燃えるゴミと一緒に――。
――どどどどどうしよう!!!
呪われた聖剣を泥棒なんかしてません!と正直に言って信じてもらえるかどうか。そもそも、信じてもらえたところでそれはそれで許してもらえるビジョンが見えない。
ゴミ捨ての仕事を命じられたばかりに窮地に陥った新人は、やや真剣に勇者への転職を考え始めたのだった。
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