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呪われた聖剣が盗まれた!
その日、魔王城には緊急招集がかかっていた。
魔王が深刻な顔で話し始める。
「諸君。……由々しき事態が起きた。我が魔王軍中から、裏切り者が出たのだ」
「な、なんですって!?」
「それは本当なんですか魔王様!?」
魔王の言葉にざわつく魔物たち。
魔王は、人間たちを打倒し、地上に魔族の楽園を作るため戦ってくれている。その魔王を裏切るなんて、魔族としてはありえないことだった。
一体誰が、そのような恩知らずなことを?魔物たちは周囲を見回して気づく。約一名――最近入ったばかりの新人の姿が見えないことに。
もしや、彼こそが裏切り者だとでもいうのか?
「信じられません。……確かにあいつは、テイルは魔王軍に入ったばかりでした。だからって裏切るなんて……」
発言したのは、つい今日、彼に新しい任務を命じたばかりの上官だった。
「魔王様。テイルは、一体何をしてしまったのですか?」
「とんでもないことだ」
魔王は深刻な顔で、上官を睨んだ。
「我が大切に保管していた、勇者を倒せる呪われた聖剣。奴はそれを盗みおったのだ!」
「な、なんと……!」
上官は、悲鳴に近い声を上げた。
「それは一大事!一刻も早く探さねば……世界中に指名手配をかけます!」
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