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一駅目 出会い
ガタンゴトン
季節は春の終わり頃。
今日も陽気な天気に照らされながら揺れる電車に座る。
高校に入学して、当たり前となった日常。
小さい頃は電車というものはどんな乗り物なんだろうと憧れて。
初めて乗った時はとても心踊っていた。
でも、日常と化した今では特に何も思わず、ただ一定に揺れる電車に誘われる
眠気と戦う日々だ。
『まもなく○○駅に到着します。
揺れにご注意ください。』
「あ、そろそろだな。」
そんな明け暮れる日々でも、唯一の楽しみがあった。
それは
「よう、今日も相変わらずボケっとしてんな。」
「シシッ、そういう明斗さんも相変わらずムスッとしてますね。」
「るせっ、生まれつきこれなんだから仕方ないだろ。」
明斗さんといる電車の時間だ。
ムスッとした顔でいつも黒い作業着を来ている人。
苗字は知らないけど、下の名前だけは知ってるんだ。
だって、明斗さんが教えてくれたから。
本当は明斗さんの苗字も知りたいんだけど、これがまたなかなか教えてくれなくてな。
…ケチんぼ。
「明斗さん、おはようございます。」
「…あぁ、おはようさん。」
突然だけど、明斗さんと初めてであった時の話、しようか。
本当に突然だなって?
シシッ、気にしたら負けだ。
ってことで、これは半年前の話だ。
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