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「──たけ─たけは…武晴!」
「─ん…あき、と、さ?」
「違うわよ、明斗さんじゃなくて母さんよ。」
「………え?」
ガバッ!
名前を呼ばれてる気がして意識が浮上する。
目を開けて、と言っても熱でボーッとして視界もまだ少しボヤけていた。
だから、てっきり明斗さんかと思えば、声の正体は母さんで、なんと俺は母さんの車の中で寝ていたんだ。
いつの間に俺、移動したんだ?
「あんた、明斗さんには感謝せんとあかんよ。」
「…うん?」
「明斗さんに甲斐甲斐しく介抱してもらったんだろ?
それに、気ぃ失って目を覚まさん武晴を明斗さんがわざわざ母さんの車までおぶってくれたんだから。」
「!…そ、なんだ。」
「そうよ。次会った時、ちゃんとお礼言いなさいよ。」
「う、ん。」
そっか、そういうことか。
俺、明斗さんの言葉に安心しちゃって、あのまま思いっきり寝ちゃってたんだ。
そんな俺をわざわざ母さんの車の中に運ぶまで介抱してくれて。
母さんの言う通り、ちゃんと、お礼言わないと、なぁ。
また、会えるよな。
明斗さん。
「ほら、武晴病院着いたから行くわよ。」
そう、思った数日後、随分あっさりと明斗さんに再開することに驚いたのは、また別の話だ。
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